気候変動によるここ数年の度重なる自然災害の発生や、世界各国で起こり始めた熱波など異常な気温上昇は、「地球温暖化」に対する人々の危機感を高め、企業の社会的責任としての「脱炭素社会」「エネルギーシフト」など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みに対し、社会全体の関心が強まっています。
■ 日本社会は高齢化社会から人口減少社会に突入し、生産年齢人口の減少による労働力不足、需要の減退が現実化する時代が到来します。
■「コロナパンデミック」に対応した巨額の財政支出により、世界的にインフレが進み、あらゆる物価が上昇、日本も金利のある世界に突入し、あらゆる経済活動に金利コストを考慮した運営が必要となります。
■「コロナパンデミック」がもたらした人間社会へのインパクトは、グローバル化や働き方に大きな影響を与え、生成AI(Chat GPTなど)の出現などでDX(デジタル・トランスフォーメーション)の動きもさらに加速してきています。
鉄スクラップを電気炉で溶解し、新たな鉄鋼製品として再生させる資源循環型事業です。ビルやマンション、橋梁や道路などの社会インフラに不可欠な鉄筋コンクリート用棒鋼(異形棒鋼)を主力製品とし、生産量において国内トップシェアを有しています。
【 強み 】
■ 国内の主要需要地であり鉄スクラップ発生地でもある関東、中部、関西、中四国・九州エリアで事業を展開
①各地の販売・購買情報を活かした営業戦略のスピーディーな展開が可能
②技術情報の横展開により技術力向上のスピードアップが可能
③半製品や主力製品の鉄筋については、災害時の代替生産も可能
■ 高強度鉄筋、ネジ節鉄筋などの付加価値製品を生産・販売
■ 高強度せん断補強筋の母材生産から加工までをグループ内で完結
■ 低品位の鉄スクラップから基準を満たす鉄鋼製品を安定的に生産できる操業技術
【 機会 】
■ 地球規模のカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの要請による電炉事業の地位向上
■ 社会インフラの更新需要により、鉄筋の需要は一定程度継続
■ 豊富な原材料(鉄スクラップ)で安価に生産できる鉄筋は、建設用鋼材として代替品が少ないため、需要は継続
【 脅威・課題 】
■ 需要は中長期的に縮小
■ CO2排出量削減の流れによる鉄スクラップ価格の上昇、調達困難の可能性
■ 新たな建築工法への対応
■ 生産年齢人口の減少に伴う労働力確保の困難さ
■ 工場設備の老朽化
当社は、2024年3月31日に関東スチールを合併、関東事業所とし、国内4事業所体制となりました。
その目的は、①BCP対応:4事業所連携による製品の安定的な供給体制の構築、②最大需要地である関東圏におけるプレゼンス向上、の2つにあります。
2021年度においては、鉄スクラップ価格が上昇基調で推移したことから売買価格差(製品価格と原材料価格の差異)が縮小し中期経営計画の目標を下回りましたが、2022年度からは、製品価格の引き上げに努めたことにより、売買価格差が拡大し、高水準の利益を確保することができました。
2023年度は、高い売買価格差を維持しつつ、生産量・出荷量とも前期実績を上回ったことから、前期対比さらに増収増益となり、中期経営計画での目標を大幅に上回る結果となりました。
また、中期経営計画の施策として掲げていた「働きやすい職場環境づくり」として、枚方事業所の自動システム搭載の新倉庫が稼働、加えて関東事業所の炉前ロボットの導入など合理化や効率化が進んだほか、関東事業所の新厚生棟、名古屋事業所の新事務所が完成し、職場環境の改善が進みました。
国内4事業所体制の盤石化のため、各事業所間の連携強化をさらに進め、最大需要地である関東圏におけるプレゼンスの向上を図ります。また、名古屋事業所で製造する高強度鉄筋などの付加価値製品の拡販にも努めます。原材料調達の多様化などの川上戦略として、グループ会社である共英マテリアルを軸としたサテライトヤード設置などによりスクラップ調達機能を強化します。生産企画部にエンジニアリング部門を新設し、国内外の製造拠点の恒常的な安全・安定操業を実現します。さらに、「NeXuS 2023」に引き続き、製鋼工場に自動測温装置・自動分析装置、圧延工場にサンプリングロボットを導入するなど、労働力不足の課題に対応するため、合理化や効率化を進めます。