取扱いが難しいさまざまな廃棄物を電気炉で溶融し、

無害化と鉄リサイクルを実現しています。

鉄鋼事業の中核設備である電気炉では、稼働時に3,000~7,000 ℃のアーク熱が発生します。この熱を有効活用しようと始めたのが環境リサイクル事業です。廃棄物に含まれる鉄を再利用するとともに、注射針や手術用メスなど感染性医療廃棄物の完全無害化処理を実現しました。
 

その後徐々に処理品目を増やし、今では当社グループの重要な事業の柱のひとつになっています。特に、今後もリサイクル需要の高まりが予想される、炭素繊維や車載リチウムイオン電池といった新素材の処理実績は、業界トップです。また、2004年に山口事業所内に設置したガス化溶融炉では、廃プラスチックなどを処理し、その過程で発生したガスは、圧延工程の燃料として有効活用しています。これからも電気炉を中核に、環境リサイクル事業の拡大を進めます。

医療廃棄物

国内14社の提携代理店による医療廃棄物全国回収システム「メスキュード」を構築し、年間1万トンの無害化リサイクルを実施。2002年には「メスキュード医療安全基金」を設立、厚生労働省などを通じて毎年様々な団体に寄付を行っています。

リチウムイオン電池

車載用などリチウムイオン電池の年間処理量は500トンと、日本トップの実績です。昨年10月には山口事業所と関東スチールが、環境省の制度による車載リチウムイオン電池の指定処理工場(全国で7工場のうち)に認定されました。

炭素繊維

強度・耐火性・軽量など優れた性質を持つ反面、リサイクルが困難な炭素繊維。当社が開発した電気炉によるケミカルリサイクル※は、2016年に特許を取得。大型CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製品の処理も可能にしました。
※ケミカルリサイクル…廃棄物を化学反応によってガスなどに組成変換した上で再利用するリサイクル方法。

コンビニ解体物・
自動販売機

店舗の閉店・改装時に発生する什器や空調機器類の買取・処理システムを確立。コンビニなどの全国展開店舗から、年間約1万店の処理を請け負っています。また、自動販売機は年間約2万台を処理。いずれも70~80%を占める鉄が再生資源として有効活用されます。

フロンガス

通常のフロン類のほか、代替フロンなど特殊なフロン類も処理します。現在は山口事業所や枚方事業所で行っていますが、2019年7月には関東スチールでも処理を開始します。

トナー粉

処理過程で事故の危険もあるなど取扱いが難しいトナー類。当社は独自にトナー固形化設備を開発し、安全に処理を行っています。当社によるトナー固形物はコークスの1.3倍の発熱量があり、石炭など化石燃料の代替として販売も行っています。

自動車・ 小型家電

年間6万台の自動車、年間1,300トンの小型家電のリサイクルを実施。自動車処理については、必要なすべての許可を山口事業所で取得し、一所完結型のリサイクルを行っています。