鉄資源循環と廃棄物処理の融合。「35年目の新製品」を提供
世界の人口が80億人を超える今、廃棄物や汚染物質による環境負荷の低減、製品や原材料を循環させるサーキュラーエコノミーなどが求められ、企業活動がエシカル(倫理的)であることが評価される時代に変化しつつあります。
当社グループは、1988年以来、廃棄物を処理しながら鉄鋼製品を製造しています。すなわち、役割を終えた鉄鋼製品を新たな製品に生まれ変わらせる鉄資源循環の取り組みと、電気炉で発生する高温を活用して廃棄物を完全無害化溶融処理する環境負荷の低減を実現する事業を営んできました。廃棄物の処理品目は、注射針などの医療廃棄物を皮切りに、アスベストなどの難処理廃棄物へ拡大するなど、社会課題の解決に向けてさらなる挑戦を続けています。このような新しい価値観が広がる社会の変化をとらえ、2024年5月に電気炉でそうした廃棄物を処理しながら製造した鋼材を「エシカルスチール」と名付け、販売を開始しました。
【ロゴの由来】
鉄筋は、コンクリートや建造物の内側で骨格となる見えない主役。そんな鉄筋が網目上に組まれるように、日本に、世界に、地球全体にエシカルスチールが縦横無尽に広がっていくイメージを表現しています。また当社社員のエシカルな仕事に向き合う姿勢や誇り、環境に配慮する想い、社会課題に向き合う心、日本を鉄鋼事業で支える志など、共英製鋼の根底に根づく内なる情熱「共英スピリット」をハートの形状で表現しています。
建物等の解体に伴って発生する、鉛含有塗料や石綿(アスベスト)などの有害物質が付着した金属廃棄物を、無害化・再資源化し、サーキュラーエコノミーを実現する取り組みを鹿島建設株式会社様と開始しました。
鉛含有塗料は錆び止めや硬化剤として、石綿は耐熱性や絶縁性、耐薬品性などの特性から建材や断熱材などに幅広く使用されてきました。しかし、1990年代以降、鉛や石綿による健康被害や環境への悪影響が確認されたことから、現在は使用が制限・禁止されています。これらの建材を使用した多くの建造物が建て替え等の時期を迎えることから、有害物質が付着した金属類を技能者の安全衛生や工事現場の周辺環境に配慮したうえで解体し、回収した資源を有効利用することが求められています。
当社は、鉛と石綿の両方の処理を行う許認可を有する、電炉メーカーとしては国内唯一の企業です。有害物質をCO2排出量の少ない電気炉で無害化溶融処理を行い、さらに金属部分(鉄)を原材料として鉄鋼製品「エシカルスチール」に再生利用することで、有害物質の適正処理と鉄資源循環を両立できます。
今後、建造物の解体に伴う有害物質が付着した金属廃棄物の発生の増加が予想されるなか、当社は、当該産業廃棄物処理に必要な許認可を保有する国内事業所を現在の山口事業所以外の他の事業所に拡大していきます。
2025年7月、当社製品の流通の役割を担う商社や特約店の方々を対象に、延べ6日間にわたって「エシカルスチール」についての説明会を開催し、オンライン参加含め合計168名の方々にご参加いただきました。説明会では、鉄鋼事業と環境リサイクル事業の併営という当社の強みや、「エシカルスチール」ブランド化の狙い、注文方法、「エシカルスチール」証明書発行の流れなどを説明し、理解促進を図りました。質疑応答では、参加者より発注・納品に関する内容をはじめ、様々なご質問を頂戴しました。
今後も、「エシカルスチール」の受注拡大を目的とし、需要家の皆様の認知向上施策を実施していきます
「SuMPO EPD」は、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)によるライフサイクルアセスメント(LCA)手法を用いて製品のライフサイクル全体の環境情報を定量的に開示する製品環境宣言(EPD)の制度の一つで、当社が生産する4製品の原材料調達段階から製造段階における環境影響を評価し、第三者検証を受けました。お客様はこれにより、使用する製品の環境負荷を定量的かつ客観的に評価でき、環境に配慮した製品を購入する上での判断材料としていただくことができます。
また、LEED(建築や都市の環境を評価する、米国の国際的な性能評価システム)認証取得を目指すお客様に対しても大きく貢献できるものと期待しております。
開示している環境データの詳細は、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)のページでご覧いただけます。
登録製品名と登録番号は下記のとおりです。
異形棒鋼:JR-AJ-21001E-A、丸鋼:JR-AJ-21002E-A、等辺山形鋼:JR-AJ-21003E-A、平鋼:JR-AJ-21004E-A


