コロナ禍における当社の対応

 

新型コロナウイルス感染症拡大による 当社グループビジネスへの影響

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された皆様および感染症拡大により困難な生活環境を余儀なくされている皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。
 当社グループでは、お客様、お取引先様、地域社会の皆様、従業員とその家族の安全と健康を最優先に、引き続き感染症拡大防止に努めてまいります。
 2020年度は当初、東京オリンピック開催年ということもあり、人口減少下にある日本の景気も、上向きの予測をしていました。ところが1月中旬以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により社会状況が一変。景気の見通しも、立たない状況になっていきました。
 当社グループの主力市場である建設用鋼材分野においては、契約残もあり、自動車や電機、産業機械向けほど大幅な落ち込みにはならず、2020年度上期製品出荷量は、前年同期比7%の減少に留まりました。
 しかしながら、未だ先行きが不透明な状況だからこそ、いかなる状況にも対応できる体制を整えていくことが大切です。

 コロナ禍における当社グループの対応と見つめ直した業務体制

 

 コロナ禍による影響は、悪いことばかりではありません。業務体制を見直す大きな機会にもなりました。当社では、テレワークや時差出勤、年次有給休暇の取得推進に努め、ピーク時の本社出勤は3割まで縮小することができました。業務効率化のため、昨年度より社内グループウェアを次世代のクラウド型グループウェアに切り替えていたことも功を奏して、オンライン会議やリモートワークへの円滑な移行を実現できました。決算業務や採用活動がほぼ支障なく行えたことは、今後の働き方改革にもつながります。
 事業所においては、常時マスク着用、手洗いの徹底、三密対策などの衛生対策に加え、早期より検温器やアクリル板の設置を徹底。外部からの来訪を控えてもらい、従業員には自動車出勤を徹底することで、国内では感染者を出さず操業を維持できています。(2020年12月現在)海外では少数の感染者が出た拠点がありましたが、作業スタッフやチーム間の接触を避ける対策をしていたため、感染拡大を防ぐことができました。

 オンライン会議やスマートグラスの活用で、国内外の各拠点間で情報をリアルタイムに共有できたことも新たな発見です。

 “地産地消”の鉄づくり、地域ごとの対応力が活きる

 

 当社グループのビジネスの基本は、“地産地消”の鉄づくりです。地域で生まれた鉄スクラップを回収し、電気炉で溶融、再び建設用鋼材として世の中に送り出す循環型の事業です。それゆえ、各事業所ごとの意思決定や裁量を大切にする現場主義を重視してきました。それは海外拠点でも同様です。米中貿易摩擦など、グローバル経済が変化する中、世界情勢の影響を受けるリスクが低い地産地消ビジネスとグローバル化との新しい融合が求められています。ベトナムやアメリカ、カナダの子会社も、この緊急時に本社とリモートでのやりとりで、生産・営業活動を維持することができました。当社グループの地産地消ビジネス、地域分散型経営は、これからの時代、強みになっていくと考えています。

中期経営計画最終年度に向けて

 中期経営計画2年目(2019年度)の業績と最終年度(2020年度)の見通し

 

 中期経営計画2年目の2019年度は、売上高はやや未達でありましたが、利益については目標を大きく上回り、最終年度の目標値である「経常利益140億円」を前倒しで達成することができました。ROS、ROEについては、それぞれ7.9%、7.8%に改善し、2018年度および中期経営計画の目標値を上回りました。
 重要なイベントとなったのは、アルタ・スチール社の買収です。同社は、カナダのアルバータ州にあり、今年創業65年を迎えた、カナダ西部唯一の電炉工場であり、棒鋼、形鋼などに加え鉱山向けの鉄鋼製品を生産しています。同社の買収が実現したことにより、当社グループの「世界3極体制」はより強固なものとなり、海外出荷量200万トン体制が視野に入る水準となりました。
 2019年度の業績は、数値目標はほぼ達成できましたが、その内容については決して満足できるものではなく、課題を残した一年だったと総括しています。特に、海外鉄鋼事業は、全体の利益の3割程度を計上することを目指していましたが、その目標には至らない状況でした。
 2020年度は、2018年10月に策定した中期経営計画「Quality Up 2020 『未来への挑戦~より強い共英製鋼グループを目指して~』」の最終年度となります。2020年度を見通すと、経常利益190億円を達成した2019年度に比べ、売上が8%、利益が30%下回ることが見込まれます。しかし、今までにないコロナ禍のもと、従業員が最大限の生産・営業活動に努めてくれたおかで、上期は期初予想を上回る業績を上げることができました。
 次期中期経営計画では、まずは海外鉄鋼事業の収益力を強化することが課題となります。日本だけに目を向けず海外拠点を整備していくことは、当社グループの持続的な成長のために重要であり、世界の資源循環型社会の実現にも貢献できると考えています。

 “質の強化”について中期経営計画の進捗

 

 中期経営計画では、100年企業に向けてあらゆる面で評価される「Aクラス」の企業に成長するために“質の強化”にも取り組んできました。「3つのQuality Up」をスローガンに掲げ、「現場力・社員力・経営力」の向上を目指しています。
 現場力については、当社の強みはもともと現場主義にありますが、JK(自主管理)活動によって現場の創意工夫を促すとともに、各事業所の製造技術開発連絡会をさらに充実させ、現場力を高めるように取り組んでいます。

 社員力については、新卒採用、キャリア採用に積極的に取り組み、また女性の活躍を推進する環境を整えたことで、人材の層に厚みが増してきました。海外子会社における女性の活躍は目を見張るものがあります。今後さらに踏み込んで研修教育体制を充実し、様々な人材が活躍できる環境づくりに取り組んでいきます。
 経営力については、健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んできました。社外役員を全取締役の3分の1以上とするなど、経営の透明性を確保する取り組みに力を入れています。また、関係会社を含めた全社員のコンプライアンス意識調査を実施し、各部門の意識や風土の現状を把握しながら、リスク・コンプライアンス委員会で課題の解決に取り組んでいます。さらに、中央安全衛生委員会と中央品質管理委員会では、工場運営にとって大切な安全とともに、品質の全社横断的な課題の抽出と解決に向けた取り組み強化を図っています。

「持続可能な社会」を支える資源循環型事業

 「鉄」何度でも生まれ変わる資源

 

 当社の主力事業は、製品としての寿命を終えた鉄スクラップをリサイクルして、鉄鋼製品を作ることです。ビジネスモデルそのものが「資源循環」を根幹とした事業だと言えるでしょう。我々の暮らしに身近で、レガシーな印象さえ持たれがちな鉄と鉄づくりですが、持続可能な社会への転換が求められる今こそ重要な「リサイクル」に長けた資源であることを改めて周知していく必要があると考えています。鉄が“リサイクルの王様”と言われているのも、リサイクルを繰り返しても品質や強度が下がりにくく、何度でも生まれ変わることができるからです。
 当社グループでは、リサイクルに適したその鉄を、いかにロスなく再生するかという技術向上にも絶えず取り組んでいます。鉄スクラップをメインとする資源の中には、鉄づくりにおいて不純物となるものも含まれます。それらは、溶融工程で高品質の鉄鋼製品とスラグやダストといった副産物に分離されます。現状、これらの副産物は、ほぼ再利用できていますが、さらに様々な課題に取り組み、完全リサイクル・ゼロエミッションを目指していきます。

 創業者の精神から今につながる社会と環境への取り組み

 

 当社グループでは、「鉄づくりを通じて社会に貢献し、世界のインフラづくりに貢献する」という、実質的な創業者・高島浩一の精神を受け継ぎ、今日まで事業に取り組んできました。「持続可能な開発目標(SDGs)」が、現在では世界共通の価値観として語られるようになりましたが、当社では日本が公害問題に揺れていた1970年代から、大阪工場や枚方事業所で煤煙煤塵を出さない完全クローズ型の工場を目指すなど、事業の成長だけに目を向けず、社会や環境との共生に力を入れてきました。
 さらに、1988年には、社会問題となっていた廃棄物の不法投棄への解決策のひとつとして、超高温の電気炉を活かして医療用廃棄物の完全無害化処理を行うメスキュード事業を立ち上げました。経営理念である「Spirit of Challenge 」を根底に、「私たちが社会にできることは何か」という想いから生まれたこの事業は、鉄鋼事業とは別セグメントの環境リサイクル事業として資源循環型社会を支えています。
 CO2排出量も2019年度実績で2013年度対比26%削減できました。2050年に向けて、さらに削減していきます。

 ESGの情報開示に向けて組織をアップデート

 

 当社グループでは、資源循環型事業を本業にし、早くから環境問題に取り組んでいますが、それが企業文化の「当たり前」になっていたことで、環境への取り組みをステークホルダーの皆様や社会に対して情報公開する体制づくりが遅れたことは否めません。昨年ようやく初めての「環境報告書」を発刊し、その準備メンバーを中心としたESG推進室を本社経営企画部内に設置しました。
 ESG推進室では、今後の脱炭素社会、資源循環型社会の実現に向けて、当社のESGに対する方向性を取りまとめようと動き出しています。その一環として、本報告書では、当社の「マテリアリティ(重要課題)」を特定してご報告することができました。今回特定したそれぞれのマテリアリティの解決に向けて、より具体的な取り組みを進めていきます。

経済価値と社会価値の両立

 持続的な成長につながる当社の資源循環型ビジネス

 

 現在もっともグローバルに成長しているビジネスは、“GAFA”に代表される情報ビジネスだと言えるでしょう。しかし、これからの時代は、限りある資源をより有効に活用することが求められる時代です。私は、21世紀のビジネスには「リサイクル・リユース・シェアリング」の視点が重要になってくると考えています。住まいや車をシェアしたり、古い物をリユースしたり、使用済みの製品を回収してリサイクルしたり、そうした持続的な好循環が暮らしの身近にある時代になってきました。
 いま、持続可能な社会のために、企業が経済価値と社会価値を両立していくことが重要だと言われています。また、あらゆる企業、特に我々メーカーは、「つくる責任 つかう責任」と向き合わなければなりません。
 当社の資源循環型の鉄づくりは、これからの社会にとって大きな使命を負っていると考えています。高島浩一は「地球の包容力に甘えず、持続可能な社会を作っていかなければいけない。鉄づくりの優れた技術力を自然との共生、地球環境との調和のために使わなければならない」と言っていました。このことこそ、当社グループが一丸となって取り組むべき「未来への挑戦」だと考えています。
 ステークホルダーの皆様には、引き続き当社事業の発展にご期待いただき、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。